国産RPGの、兵どもが夢の跡
『大RPG時代・前夜』の地、ファルコム島。
かくしてRPGは生まれた。
我々はそれがやがて
『ドラクエとして生まれ変わった日本のRPG(JRPG)』
となり、空を驅けるような歩みで黄金時代をつくりだすことを知っている。
が、その「前」がある。
後に「国民的」とまで親しまれる「JRPG」が、未だ「国産RPG」として胎動していた「魔境ファルコム島」へといざ上陸せん!!!!
面舵いいいいい!!!!!
今回はこんなお話。
その意味は最後に伝わるだろう。
「ドラゴンスレイヤー」って何?
独自の生態系「ファルコム島」の源流。
いわゆるガラパゴス化しているイメージの日本ファルコム。(ゲームメーカー)
アクションRPGのレジェンド「ys(イース)」や、知る人ぞ知る「軌跡シリーズ」など太古からのルーツを持った独自のゲームタイトルを世をはばかることなくリリースし続けている。
日本のRPGにおけるシーンでは「ドラクエありき」に語られ、その場合においてのファルコムRPGは、これら「ドラクエライン」からは外れている。
だからなんかガラパゴスっぽい印象。
とにかくそういうことで話を進めます。
※ガラパゴス化…他と隔絶した環境にあることで他の影響を受けずに独自の発展を遂げている孤立した文明のことを指す。(ガラパゴス諸島には他には全くみられない独自の生態系があることから)
名作トピック
うまれいづる国産RPGたち
ぱのらま島
参考・「日本ファルコム初のRPG「パノラマ島」は日本初の本格的バカゲーRPG」顔面ソニーレイ+ さま
どれが最初の国産RPGかなんていうものは確証がないらしいし、
「だいたいココらへんにどわっと出てきた」
というイメージで行きましょう。
※ここらへん…1980年代
「ドラスレ」は冠名
冠名(かんむりめい)ということで、このシリーズは「とあるスターゲームクリエイター」の作品を表すモノだったらしく、
それぞれのタイトルは独自のシステムを持った独立的タイトルだとか。
後に解体されて「独立したシリーズ」として展開されていく歴史家泣かせなギミック。とにかくうねりにうねっている。
二人に作らせて、良かった方を「ドラスレ」に。
そんな伊藤一刀斎の「一刀流」相伝みたいになっていた初期のRPG界。
二人のクリエイターにゲームを作らせ、競わせ、優った一方を勝者としてこの名を与えたとか。
まるで一刀流相伝のために争った「神子上典膳(小野忠明)」と「小野善鬼」のようではないか。
忠明は兄弟子であった善鬼を殺すことで一刀流を相伝。のちに「小野派一刀流」として隆盛を誇る。
敗けたドラスレはゲーム雑誌のコンテストに応募されたようだよ。良かった現代で。
原初のガラパゴス諸島「ファルコム島」
「国産RPGのライブステージ」ともいえる日本ファルコム。
世界で注目されていた「コンピュータRPG」は、このファルコムによって日本で大々的なヒットを飛ばすタイトルを産んでいくみたいね。
輩出する人材もスターが多い。
邦画歴代興行収入2位(2017年現在)を記録した超ヒットアニメ映画「君の名は。」の「新海誠」監督や、カルト的人気を誇るRPGシリーズ「ゼノシリーズ」の生みの親にしてFFにメカリズムを持ち込んだゲームクリエイター「高橋哲哉」(通称たかちゃん)も在籍。
参考・「『君の名は。』監督・新海誠がゲーム業界を駆け抜けた日々 ~」電ファミニコゲーマー さま
売上
ドラスレシリーズ第2弾の「ザナドゥ」はPCゲーム史上空前の40万本を売り上げたという。それくらいしかわかりませんね。
参照「うぃきぺでぃあ」
歴代タイトル
- ドラゴンスレイヤーシリーズ
- ファルコム島にいた「とあるスタークリエイター」が打ち出し続けた国産RPGたちの総称として用いられているのがドラスレ。故に「特別な繋がりなどはない」というなかなかに意味のわからなさを抱えているシリーズである。
- 「ドラゴンスレイヤー」
- 「ザナドゥ」
- 「ロマンシア」
- 「ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー」
- 「ソーサリアン」
- 「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」
- 「ロードモナーク」
- 「風の伝説ザナドゥ」
前代未聞麻薬的爽快遊戯
ドラゴンスレイヤー
ゲーム情報
「前代未聞麻薬的爽快遊戯」
※ぜんだいみもん まやくてきそうかいかん ゆうぎ
別に中国発ではないけれど、
そんな誤解を与えるとはつゆ知らず「一度に多くのメッセージ性をお手軽に込められる漢字の特性を最大限活用した」結果としてこのようなキャッチコピーが打ち出されたのだろう。
それだけ当時のRPGを宣伝する決め手に欠けていたのではないか。
今日では「○○本格スマホRPG!!!!!」とか言うとけば伝わってしまう伝説のジャンルも、その草創期においては「なんと言っていいかわからん」扱いであったか。
アクションRPGの雛形?
「イース」に代表されるファルコムブランドの十八番となっているアクションRPGだけど、その当初はなんや「ロールプレイングパズルゲーム」というスタイルで完全なアクションではなかったとか。
次いこう。
PCゲーム最高の売上伝説
ザナドゥ
名高きザナドゥ。
レトロRPG界を歩いていて名前を聞かないことはない「ザナドゥ」ですけれど、それもドラゴンスレイヤーシリーズとして誕生していた。
というかこの時期のファルコムゲームは「とあるスターゲームクリエイター」によるもので、ドラスレとはそれの冠名に過ぎないのだから当たり前なことなのか。
詳しくは「ザナドゥシリーズ」として追ってみよう。
美麗なクソゲー
ロマンシア
ゲーム情報
一気にジャパンぽくなる。
なにやらゲーム画面は「マリオ感」すら漂う「おもちゃ的なワクワク感」をもち、
キャラクター絵は「アニメ調」でホット一息いたしますね。
最近は散々に「ごりごりリアル人面キャラクター」の渦に飲み込まれていた「いにしえ名作RPG行脚」なものだったから。
というか「レトロ洋ゲー」ばっかりだったから。
どうにもほらアレじゃない日本のゲーム界で生まれ育ってきた我々からしたらほら後はもう分かるよねもう大人なんだから。
そしてココらへんの87年頃に、
あの“現代にまで続いている伝説的アクションRPG”「ys(イース)」が生まれ出て大ヒットを飛ばしていたとか。
家族総出の大活劇
ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー
ゲーム情報
今でいうザッピング(切り替え)?
参考・「あの超大作「ドラゴンスレイヤーⅣ」の素晴らしさをもう一度伝えたい!」ミドルエッジ/茶太郎 さま
「竜殺しの一家」がそれぞれの特殊技能を用いて活躍するわけだからか、「複数のキャラクターを巧みに用いてステージを攻略していく面白さ」が楽しめるという。
なんか普通に面白そう。
シナリオの数だけ世界がある
ソーサリアン
ゲーム情報
「イース」も売れたし、
「ソーサリアン」も。
そんな「兄が凄いなら弟も」みたいな「部活の勧誘あるある」的な?
あるいは競馬でそんなことがあるみたいな?ビワハヤヒデとナリタブライアン的な?
そんな最大の期待値でもって迎えられ、
「認められた」という名作とか。
それもそのはずで、
この作品は「アプデサイボーグ」と呼んでいいだろうほどに改修を繰り返している。
他のプラットフォームに転生し、その身を鍛え上げ続けている執念の逸品だというのだから。偉大なる兄のプレッシャーから、押しつぶされそうになるも、その背中にみた自分の理想に追いつこうと修練を続けた結果の評価なのであろうか。
みたいな。
※全てイメージです(実際の人物団体とはかけ離れている事が多々あります)
どっちやねん
ドラゴンスレイヤー英雄伝説
ゴールデンベイビーズ
『英雄伝説』シリーズ開幕。
あの「日本のRPG黄金時代」に生まれでたゴールデンベイビーたち。そのなかに「英雄伝説」もあった。今でも続く「軌跡シリーズ」の大元ともいえるわけで、ドラスレ島には色んなルーツが詰まっているね。
英雄伝説シリーズはまた別に追っていこう。
ロードモナークじゃん
ロードモナーク
今度はリアルタイムストラテジーだ!
「大戦略」とかそんなウォーシミュレーションで使われるゲームスタイルへと変貌。ついに、なんとか「なんやかんや言ってもドラゴン退治する」という足並みが存在したところへ持ってきてのロードモナークというわけなのである。
ドラスレシリーズってもう意味がわからなくなってくる。
だってこれはロードモナークじゃん。
確かに
ヤマザナ♪ヤマザナ♪ヤマザナドゥ!ヘイッ!!
風の伝説ザナドゥ
PCではない。ゲーム機のPCエンジン。
「PCエンジンという幻」については他のタイトルから追いかけてその終末を見届けているが、この作品は珍しくPCではなくて「家庭用ゲーム機の専売」として出ているとか。
※ちなみに冒頭の「ヤマザナドゥ」は「四季映姫」さまのことであり本作とは何の関係もありません
さて、「ファルコム島迷宮スポット問題」
またまた出てきたザナドゥですが、前ザナドゥとは別シリーズとして認識されているという「ファルコム島迷宮スポット化」の象徴的存在。
「ys(イース)」もそうだったように、
とにかく「入り組んで入り組んでの群島諸国」なのである。
名キャラ列伝
リルル・ウォーゼン(竜殺し一家/妹)
「エルフ」(実際は他の家族と同じく人間)
なかなかに意味がわからない。
とにかく「ハイジャンパーの能力者」で、
ジャンプばっかりしているとか。
あと可愛いのがウリ。
それにしてもこのドラスレシリーズはシリーズと言えども独立組が多すぎるので、
直系に残っているのは言い出しっぺの「1」となんとか残った「4」くらいしかない。
1のキャラクターはほぼプレイヤーだけだろうし(憶測)、
そうなると結局「竜殺しの一家」しか残らないという方程式。
いま「ドラスレ」を楽しむならおすすめはどれから?
「ドラスレ4」でしょ!「竜殺し一家」の面白さでしょ!
★「ゲームフリーク」をゲットして「FC版ドラスレ4ドラスレファミリー」がよろしいのではないだろうか。(ファルコム作品は他にも様々なハードでリメイクする傾向にあるのでプレイしやすそうな機種で探すのも良しやで)
★あるいは「ニンテンドーバーチャルコンソール」で最新機種にダウンロードできるようになっていればそれを活用する(ざっくり情報)。
そんなところかな。
とにかく何度も言うけどこのシリーズ中「ドラスレ」だと言えるのなんて初代と4くらいでしょ。
ロマンシアはクソゲーと言うし(わたくしが言っているのではありません)、
ザナドゥと英雄伝説はもう別シリーズだしソーサリアンもそれに限りなく近いし、
ロードモナークはロードモナークだし。
まとめ
アクションRPGがなぜ?
日本でRPGといえばまず「コマンド入力バトル」なドラクエテンプレ。あるいはFFに代表されるスクウェアレジェンズたちでもほぼほぼ「ターン制のコマンドバトル」だ。
それは「いにしえのRPG」であるウルティマやウィザードリィを受け継ぐ、いわばこの「ドラクエライン」が「RPG黄金期を生み出したから」のはず。
だが「いにしえのRPG」と「RPG黄金期」を繋ぐはずの国産RPGたちは「アクションRPG」なんだ。
これは、
「海外の人気作をそのまま日本に持ってきて儲けていた所をドラゴンクエストという英雄が一蹴した」
という反証そのものではないだろうか。※誰もそんなことは言っていないけれど。
つまりそれは「血と涙と工夫のRPG戦国時代の果てに打ち出され、闘争され、磨かれていったワザ」だったのではないか。
それは当然のように真似され、
主流になり、
伝統になった。
いや、そうなるかに思われた。
そしてまた、その時代は来たのだ。
黄金期においてテイルズオブシリーズやスターオーシャンシリーズのなかに遺り、
やがて技術の進歩とともにアクションスタイルは今日の日の主流となった。
だがそれはあるソフトの登場で20年は遅らせられることになったのだ。
「RPG黄金期」とはドラスレシリーズたち国産RPGが押上げたアクションRPGの未来ではなかった。
魔境マゼラン海峡のごとく
それでも難しすぎたのだ。
最近というか、オンライン系のゲームをみていてもあまりやりたくならないのはこの「難しそう」とか「面倒そう」という印象が個人的にはある。
だって文字小さいし、
画面に羅列されるし、
はじめてHTMLやCSSのコードをみたときみたいな気分になるし。
そしてやっぱり「難易度は高い」と来ているのがこの時代のゲーム。
住み分けがされた今日のやりこみ型ゲームが担う所である「解説動画必須」の「予習補習あたりまえ」が、
「あたりまえ」なのだという。
しかし言ってしまうと、難易度が高いとかいう以前に、
やはりデジタルすぎるゴチャゴチャした画面も問題だったのではないかね。
やっぱり見づらいし。
つまりイメージしづらい。
冒険として。
冒険としてイメージできるか、
画面の中のデータいじりになってしまうか。
けっこう決まってきちゃう気がする。
「ゲームをやらないような人」を巻き込む場合は特に。
かつて「マゼラン海峡」があった。
※今もある
「世界ではじめて地球一周を成し遂げた」船団の初代船長フェルナン・デ・マガリャンイス(マゼラン)が南米を廻った航路「マゼラン海峡」
その後に続く航海者たちは50年もの間この海峡をみつけられなかった。
※海峡…海の道で、大陸と大陸の間のような地形。マゼランたちは南米を周って太平洋に出たとされる。その際の海峡をマゼラン海峡と呼ぶ。
多くの航海者たちがこの伝説に挑み続けた。ある者は「もう地震か何かの地殻変動で海峡は閉じられてしまったんだ」と言うし、ある者は「そんなものなどなかったんだ」とまで言った。
その挑戦や奮闘はどこか「国産RPGの戦国模様」に似ている。
互いに切磋琢磨し、競争し、我が我がと出し抜けを図り、あるいは共闘し、遂に「アクションRPG」という「日本のRPGの定義」が生み出されようかというところまでその状況は進んでいた。
それでもなお、
「その先へ」進みきれずにいた。
しかしそれはすでに「常識」であり、
その先にこそ道があるはずだった。
けれどそんな常識が一夜にして一変した。
誰かが、
つまり誰かが見つけたのだ。
「あのマゼラン海峡を見つけたのか!!!???」
その答えは聞いてしまうとあっけのないものだったのだから、
その壮挙に不思議と賛辞が送られたのかもしれない。
つまりそれは言ってしまうと、
ややこしすぎたのだ。
大外一気のドレイク海峡
その伝説の扉は大海賊フランシス・ドレークによって再び開かれた。
ドレークのそれは、
そのマゼラン海峡すら大回り、
南極大陸との間を通過する「ドレイク海峡」となった。
完全に規格外。
マゼラン海峡を飛び越した。
そもそもマゼラン海峡が見つからなかったのは、
それが「群島の間を縫うように通る道」だったからに他ならない。
それは海峡というより、迷路だったのだ。
サー・キャプテンドレークはそれを相手にせず、
大回りの航路でぶち抜いてみせた。
「ファルコム諸島ドラスレ本島」は面白かった。
その面白さは日に日に高まっていった事は間違いがないだろう。
だがそれは「ゲーマーたちにとって」だった。
言わずもがな、
ゲーム市場の「その先」とは「そうでない人たちにとって」である。
そして我々はドレークのごとく「わかり易い方法」をとったゲームを知っている。
みんなが遊んだゲームを知っている。
誰でも見やすいように
誰にでも分かるように
誰にでも楽しめるように
誰でもクリアして遊べるように
少年でも感動できるように。
ファルコムが育てた「国産RPG」は、
少年の理想郷を作り上げたジャンプ勢によって「日本のRPG」となり、
「ドラゴンクエスト」になった。
参考・「【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 『ドラクエ』はいかにして誕生したか」電ファミニコゲーマー さま
RPG黄金時代がはじまる。
すべて異伝です